うさぴょん号発進せよ
「ヘン??」

コウヅキの言っている意味が分からず、思わず聞き返す。

「どうしたの、お兄ちゃん?」

ミレイユも心配そうに見上げた。

「出口へ誘導するんなら、普通地下へは誘導しないはずだろ?
実際さっきまでは、緩やかな登り坂を登っていたような感じもしてたしな」

コウヅキは更に腕を組んで、何かを考え込みながら言った。

「本当にヴェイトが、俺達をここへ誘導しているのか」

「え、でもここにいるのって、僕達の他にはヴェイトしかいないんじゃ?」

トヲルはドームの中に入る直前、念のために中を覗いてみたのだが、少なくともこの建物内には、人影らしきものを確認することができなかった。

「だがあのヴェイトが、こんな回りくどいことをするのか、と思ってさ」

腕を組み、首を捻りながらコウヅキは、目の前の扉をじっと見詰める。

何故かは分からないが、扉を開けることを躊躇っている様子だった。トヲルにはこのような場所で何かを考え込むなど、コウヅキらしくないような気がした。

「でも僕達はこの建物を調べる目的で、ここへ来たわけでしょ?
だったらきっとヴェイトがこの場所を発見して、僕達にここを調べろって、言ってるんじゃないかな」

トヲルは静かに、諭すように言った。

「それにもう後ろにも戻れないんだし、どちらにしてもこの先へは、進むしかないんじゃない?」

その言葉で再び考え込んだようだったが、やがて、

「そう、か。そうだな…よし!」

意を決したように、一気に扉を引いた。
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