うさぴょん号発進せよ
トヲルが恐る恐る背後から近づいて覗き込むと、ブリリット星人が白目を剥いて倒れているのが見えた。

「ヒト殺し…」

言いかけたトヲルの頭を、コウヅキは無言で殴った。

「気絶してるだけだから、なんなら確認してみろよ」

言われた通りに、トヲルはブリリット星人の口元に手を翳し、確認する。

呼吸が手のひらにかかる。確かに生きていた。

「ホントだ。なんか大丈夫みたいだ」

トヲルは、ホッと息を吐いた。

「それより、そこを退いてくれ。ソイツが逃げられないように、処置しなけりゃならないからな」

コウヅキが言う。

が、トヲルは振り向いて、

「一体何ですか、このヒト。僕をここへ連れてきて、何しようって言うんですか?」

ずっと聞きたかったことを、やっと聞くことができた。
< 32 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop