タイムカプセル
「あの…言いにくいんですが…白血病の薬は、副作用で、髪が抜けてしまうんです」


「でも、死なないんですよ、ね?」


「はい。薬を使えば、木原さんは大丈夫です」


「じゃあ、やります」


「紗弥、いいのね?貴方の、大切な髪が抜けても」


「先生、髪は、また、生えてきますよね?」


「はい。白血病が治って、薬を使わなくなれば」


「じゃ、大丈夫だよ。命より、大切なものはないでしょ?」


私は、髪を、大事にしてきた。


だから、サラッサラの髪だった。


よく、友だちに、いいな。とか、どうしたらなるのー?って聞かれてた。


大切な、大切な髪だったけど、死ぬよりは、絶対にマシだと思った。
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