紅き瞳に囚われて
その教室は空いてるらしく、物はなにもなかった。


そんな教室の中には、血の匂いが充満していた。

ドクンッ!!
心臓が跳ねる。あの日の事が頭をちらつく。



「…また、お前かよー」

木谷のそんな声で、我に反る。

私の目に映ったのは、気を失った女子生徒と女子生徒の首筋に牙を起てて血を吸う、茶髪の男だった。


「…ジュル、ゴクッ。ハァ」

女子生徒の首筋から口を離し、口の周りについた血を舐めとる、茶髪野郎。

「見つかちった!」

……えっ?か、軽いよ!?

「風峪-カゼタニ-、いい加減にしろ」

呆れたように頭を抑える木谷。
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