紅き瞳に囚われて
私に手を伸ばし、触れようとする漣。
私はその手を叩いた。

「私に、触るな……」

今は誰にも、触られたくなかった。漣 龍我が頭の中に浮かんでは消える。

あの日の記憶が、鮮明に蘇る。
私は自分自身を抱きしめる様に膝を抱えた。


「…涙南」

包み込むような漣の声と同時に温かい何かに私は包まれた。

「大丈夫だ。龍我は此処にはいない」

耳元で聞こえる漣の声。その時、漣に抱きしめられている事に気付いた。

「……どうして、解った…?」

漣 龍我が此処にいたということが……。

「勘」

………マジ?
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