恋 時 計 ～彼はおまわりさん～

「ありがとう」


微笑み返す私の胸の中は、また変な痛みに襲われていた。



なに……?

なんなの、この気持ちは……。


心臓をぎゅっと握られる?　締めつけられる?


言葉にならない痛みが、私の中で静かに存在していた。






結局ヨーヨーを一つも取れなかった私は、おまわりさんが取ったオレンジ色のヨーヨーをもらった。


オレンジ色の中に、青とピンクの絵具が水滴のように浮かび上がっている模様のヨーヨー。



まるで私の心の中みたい。


鮮やかなオレンジ色を、名前をつけようもない模様が訳もなく染めている。



この模様は綺麗?　かわいい?

なんとも言いようがない。



けど、おまわりさんに貰った……

それだけで、私には大切なモノとなる。