恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「おまわりさん……」
私の声に、おまわりさんが優しく微笑んだ。
「やっと呼んだね」
「え……?」
おまわりさんは、目を丸くしている私の両手を優しく包み込み、ゆっくりと自分の体に引き寄せた。
自然と私の体は座っているおまわりさんの膝の間に吸い込まれ……
見下ろすと、数センチの先におまわりさんの真っ直ぐな眼差しがある。
私は高鳴る鼓動を感じながら、おまわりさんの瞳を見つめた。
「いつだってそう呼んでいいんだよ?」
え……。
おまわりさんは、まるで強がりで泣き虫な心に声を届けるように優しい口調で言った。
おまわりさんは、私が『おまわりさん』って呼べなかったことに気づいてたんだ……。
「けど……もし何かあっておまわりさんに迷惑がかかったら……」
「迷惑なことなんて何もないよ。
俺は高校生の美樹ちゃんと付き合ってる。それで何か言われるようなことになっても、俺はなんとも思わないし、今の関係を変えようとも思わない」
「おまわりさん……」
「だからね、いつだって俺は美樹ちゃんの彼氏なんだから、美樹ちゃんが呼びたいように呼べば良い」
おまわりさんの真っ直ぐな瞳が優しく微笑み、私の胸の痞えが溶かされていく。
私はおまわりさんの微笑みにこたえるように、はっきりと頷いて見せた。