恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
闇の中
緊迫した状況の中、どれくらい時間が経ったんだろう。
車を走らせてた浅野さんの額には、汗が滲んでいた。
「浅野さん、もう一度おまわりさんに電話してみますね」
「いや、今は下手に連絡しない方が良い。犯人に近づいてる場合は、逆に危険だ」
手にしていた携帯電話をポケットに仕舞うと、浅野さんがチラッと私を見て口を開いた。
「さっき宮本に会いに来たのは、もしかしてお父さんの記憶が戻ったから?」
「はい。そのことを伝えようと思って……」
「そうか……」
少しの間の後、浅野さんは小さく頭を下げた。
「美樹ちゃん、すまんな」
「え?」
「結局、美樹ちゃんまで事件に巻き込んでしまって……」
浅野さんの悔しそうな表情。
警察官として、一般市民の私を巻き込んだ事を悔いてるんだ。
私は首を横に振った。