恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「それじゃ、失礼します」


おまわりさんの笑顔を避けるように、私は交番の前から立ち去ろうとした。



なんだか胸の中がモヤモヤ?

ううん、ムカムカしてきたんだもん。



ちっとも私のあの態度を気にしてくれてないおまわりさんは、

心が広いからなのかもしれない。


けど……

性格が悪いって思われちゃうかもしれないけど、ちょっとは私の変化に気づいてほしいって思ったんだ。




歩きはじめた私に、おまわりさんが声をかけてきた。


「美樹ちゃん!」



ムスッとした顔で振り返った私。


なのに……



「いってらっしゃい!」



おまわりさんの笑顔で、私の顔は一気に緩んじゃった。






< 69 / 712 >

この作品をシェア

pagetop