**confection**
「や…あの…、」
ももの細いウエストに回していた腕を、恐る恐る解く。
寝起きとあって、さらに驚きのありえない状態に、どうやら俺の頭の中は相当深刻な様子だ。
もう何がなんだかサッパリで、いわゆるパニック状態に陥り、完璧に脳がストライキ状態なんだ。
「相当酔ってたみたいだねー。寝てなかったみたいだし、倒れ込むように寝ちゃってたよ」
「あ…そなんだ〜…」
ももに膝枕してもらい(いや、俺が強制的にかも!?)さらにはお腹に腕を回し、またまたさらにはそのお腹に顔を埋めていた。
とりあえず、どうしよう。
どうすればいいんだ。
その前に、ずっとこうして横になってるなんて、問題外だろう!!
熱くなる顔を隠すように、勢い良く起き上がる。
バクバクと鼓動する心臓は、寝起きにはなんだか刺激が強すぎて、悪い気がした。
「ご、ごめんな…」
「え?いいよー。るぅなんか可愛かったし、良いモノ見ちゃった気分」
「………。」
…ん〜?
チラッと背中越しから見てみると、本当になんともなさそうなももに、少しだけガッカリする。
いや確かに焦ったけども!!
やべェと思ったけども!!
でも…ちょっとぐらい、意識してくれたりなんか………。
「背高いのにねー、なんでそんな顔ちっちゃいの?肌も綺麗で。羨ましい!!」
ないですよねー?
周りを見渡すと、更に増えている空き缶に、雑魚寝をしている男性陣+俊にくっついて眠る美春が見える。
思いがけず即席で2人きりになったが、思ってもみなかった事続きで、なんだかやっぱり自分の置かれた状況に訳が分からなかった。