**confection**
「!!!!」
本日何度目かの衝撃に、今度こそ固まる俺。
すんなりと言い当てられた自分の気持ちに、驚きが隠せなかった。
「ん?どうした?」
「…いや」
あの意味深な目は、そう言う事だったのか……不覚だ。
やはり、と言うか、もう今更な気さえした。
やっぱりコイツ(宗太)は、油断ならねえ。
てゆーか、そもそも適う気なんてサラサラもないもんだから、ここは素直になっておいた方が賢いのだろう。
ある意味、ももの事が好きだと、再確認させられたようだった。
あのモヤモヤした感覚も、息苦しさも、胸の動悸も?顔が熱くなる感覚も、全てはももの事が好きだからだったんだ。
ようやく俺の、原因不明の体調不良の理由が分かると、目の前の霧が晴れていくようで。
それにしても、宗太には分かっていた事が、当の本人が気付いてなかったとは………。
どんだけ俺って自分に鈍いんだ。
…って、その前に好きとかどうこう分かんねーし、いや、分かんなかったし仕方ねえ。うん、そうだそうなんだ。
「苦労しそうだなあ…ありゃ相当鈍いぞ。鈍感にも程がある」
「…鈍感…なのか」
「どー見たって鈍感だろう。周りの視線なんて気付いてもねえ」
本当に、宗太だけには隠し事は止めよう。と、固く心に誓った。
その時、本鈴を告げるチャイムが鳴る。
騒がしく席へと戻る龍雅と、穏やかな表情で席へと戻る宗太。
何だかまだ落ち着かない気持ちのまま、俺は前を見据えたのだった。