**confection**



えーっと………5組だよな。一番奥かよ。



一年のクラスは、三階立ての三階にあり、さらに自分のクラスは階段を登りきった一番端だ。



隣の校舎に、上学年が居るようで、階段を登って来る途中で見た他の階は、いわゆる教科室やなんかだった。



入学したての下級生が、上にビビらねーようにって事か?



中高なんかは、上下関係が厳しくなったりするから、あえて一年は別館にしたんだろう。



ここでもやっぱり何故か注目を浴びながら、思わず眉間にシワを寄せて人混みを割るようにして足早に長い廊下を歩いた。



何なんだよテメーら!!言いたい事あんなら言えよ〜〜〜!!!!



そんな事を考えていたら、目的の自分のクラスに到着した。



…覚えとかねえと迷っちまう。


ドアは閉まっていて、何だか開ける事に戸惑う。



何てったって、俺知り合い居ねー。



それに、小学校も中学校も、こんな大人数の中で生活した事がない。


まあ…しょうがねえ。



自分で選んで、首を横にしか振らない両親を、何とか渋々説得させてここまで来たんだ。


意を決して、手をドアにかけた。


グッと力を込めて開けようとしたその時だった。



ガラガラガラーと勢い良くあけられたドアに、思わず身を固めた。


「お〜!!すんまへんすんまへん!!」


「…………」



………大阪人も居るのか?



ニコニコと、片手で謝るように顔の前にやり、頭をペコペコしながら陽気に前をすり抜けていく。



垢抜けた都会人のような風貌の男に、一瞬目を奪われたようだった。


同性でも、格好いいなんて思ってしまう程、パーツが整った男だった。
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