**confection**
……あれ?
振り返った彼女は、まん丸な目をビックリしたように見開き、唇は赤く艶やかで、薄く開いている。
降り注ぐ陽射しのせいだと思った。
髪が綺麗なせいだからだと思った。
雪のように白い、その肌のせいだと思った。
何だかやたらとキラキラして見えて、胸がドキリとして、彼女が眩しいんだ。
「うちの犬も、ももなんだ」
「……へえ」
つれねえ返事だなあ…。
なんて思いながらも、この学校で初めて会話をする事ができて、何だかテンションが上がる。
周りから晒されてきた好奇の目線とは違い、彼女はそんな目で俺を見なかった。
どちらかと言うと、何か警戒されてる………ような?
それもそれで失礼っちゃ失礼だけどよぉ………。
「外、何かおもしれーモンでもあんの?」
「…え?外?」
見てたじゃねーか、あんな熱心に。
と口から飛び出しそうになり、抑えながら唇を開く。
いきなり軽々しく話すぎてもなあ。
「ずっと外見てたから」
「…あ〜…。上から見ると人の頭って虫の卵みたいだな〜って」
「……へえ〜…」
…すげえ……俺と同じ事思った人間がいる〜!!
何だか嬉しくて仕方がない。
同じ頭の思考回路でもしてんじゃねえ?
「…あの〜…名前は?」
「……へ?あぁ、俺?」
ささやかな感動に包まれていた俺は、言われた意味が一瞬分からなくて、思わず聞き返す。
って俺しかいねーだろ。
小さく頷いた彼女は、同い年にしては老け………色っぽく、こりゃモテる部類に間違いなく入るなあ。なんて考えた。