伝えたいんだ
「あれ、結花?」
「………っ笙、ちゃん」
幼馴染みだから家は近所で。
―――忘れてた
笙ちゃんはいつも、この時間に家を出て会社に行くこと。
「偶然だねっ」
努めて明るく笑う私は、なんて滑稽なんだろう。
気持ちはズキズキと、
――痛いのに。
「そんなキャリーバックなんて持ってどうしたんだよ。これから彼氏んとこで泊まりか?ははっ」
ぐさり。
ズキズキと痛む胸に、
再び笙ちゃんの言葉が、矢となって刺さる。
「、っ、そーなの。」
ねぇ、これ以上傷を抉らないでよ。
これ以上、傷つけないでよ。
笙ちゃんの言葉は、
今の私にはとても痛いよ。
「――マジかよ!くっそー俺なんて今から仕事だっつーのに羨ましいなお前っ」
笙ちゃん
笙ちゃん、
気付いてよ。
私はずっとあなただけだった。
笙ちゃんしか好きになれなかった。
気付いてよ。
私は、
笙ちゃんが、
好きなんだよ…?