今宵、月の照らす街で
その視線の先には、金の短髪で紅い眼を持つ、ダークスーツに身を包む男。


「本物の小沢紘子だ…オレ、君のファンなんだ」


ヘラッとする男。


一見、この男に不審な点は何も無いかのように見えるが、3人の頭からは不安を拭い去る事が出来ない。


「何者なの?」


「…アルファって呼ばれてる」


―――アルファ?


その名前に疑問が浮かぶ。


「創造主はオレに、君を連れて来いって言ったんだ」


黒い翼がアルファの背中に広がる。


―――“陰”…なの!?


アルファの陰の波動は、かなり巨大な物で、ビルの屋上を包み込む程の大きさだった。


「アンタの好きにはさせない」


紘子の隣で、真紅の波動が燃え上がる。


蛍家に伝わる“火”の気が、剣一郎の闘志に共鳴して大きくなっていく。


「右に同じ」


そして壥家の“土”気を表す紺碧の波動が、直仁から広がった。


「君たち、邪魔しちゃう感じ?」


「だったら?」


直仁が一歩前に出る。


その瞬間、直仁の右腕が宙に浮かんだ…
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