父さんと僕
 私はそういうことに慣れてしまった。毎日されたらね。6歳下の実を宥めながら押入れに入って結末を眺めていたこともあったなぁ。


「……」


 雄太は完全に黙り込んでしまう。


「これが一週間に2回か3回あるんだ。辛いよ、とても。そのせいで生きる気力っていうのがなくてね。何のために生きているんだろう、って毎日考えてたよ」


 当時は金もなかった。愛もたぶん薄かった。そして友達も数少なかった。


「そうなんだ……」


 雄太は私のことをまじまじと見つめる。


「ふふ、まぁ昔のことなんだから泣きそうな顔になるんじゃない。どれ、何か食べたい物はあるかな?」


 さて、時計は既に12時を指している。もう昼時だ。
< 24 / 63 >

この作品をシェア

pagetop