父さんと僕
「おぉ、すごいな!父さんなんか劣等児って言われててな。通知簿全てに『もっと頑張りましょう』と書かれたものだよ」


「父さん会計士なんでしょ?偉いって聞くけど」


「んー、勉強が出来るようになったのはある恩師に会ってからだね。5年生のときだったかな。勉強やり始めたときなんか掛け算が出来なくてね。自分に絶望したよ」


 僕より馬鹿だったんだね。


「おっと、ご飯が来たみたいだよ」


 父さんのご飯は餃子と春巻きと鳥の唐揚げに少しばかりのサラダ。僕は天津飯と餃子。いただきます、と両手をあわせてから黙々と食べ始めた。


「うまいか?」


「――うん」


 殴られたせいで口の中がじゅくじゅくと痛いから少しやせ我慢をしなきゃいけないのが辛かった。餃子のタレがひりひりする。
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