涙の欠片

「着替えてくる」


暫く経った後、あたしはコーヒーを飲み干し紙袋に入った制服を取り出し立ち上がった。


「は?何で着替えんの?」

「だって、これリュウのスウェットだから…」

「わざわざ着替えんなよ。そのまま帰れ」

「じゃあ、また返すね」

「あぁ」


手に持っている制服をもう一度紙袋の中に入れ、あたしとリュウは足を勧めた。


ドアの前に置いてあるあたしの上履きと、その横にある黒のローファー…


これも持って来てくれたんだ…。


申し訳ない気持ちのまま靴に足を入れ車へと向かった。


「明日、学校行くのか?」


車に乗り込みエンジンを掛けてすぐリュウは聞いてきた。


「うん」


小さく呟くあたしに「無理すんなよ」とリュウの優しい声が返ってきた。


「うん」


本当は行く気分じゃない。

でも、どうしても気になる事があったから…。


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