バレットフィンク
「俺はバンドをメジャーレーベルと契約を交わせるレベルまで持って行きたかっただけなのに…」



片手に握っているワンカップが、タケシの悲嘆に暮れた振動の中で寂しく震え続けていた。


今までバンド中心で常に生きて来たタケシにとって今回の事件は、まさしく死刑宣告に近い罪状である。


バンドが軌道に乗り始めていた事から、尚更に悔しい。


まるで魂がぽっかりと抜け落ちてしまった様な感覚に捕われてしまう。


悲し過ぎて、悔し過ぎて自然と涙が堅く握りしめていた両の拳に向かって零れ続けた。



「俺はこれからどうすれば良い?学、頼むから教えてくれ!」



慚愧に耐えない己の姿にタケシは、ワンカップを煽りながら胸中で叫び続けていた…。



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