バレットフィンク
酔いが回って来ると、ギターさえ眼に入るのが辛くなって来たタケシは、押入れの隅までギターを持って千鳥足で歩くと、強引にギターを仕舞い込んで眼に入らない様にした。



もう、全てを封印したかった。想い出も何もかも…。



ギターを始めた頃、前途は一握りの不安と、太陽の様に崇高で、煌々と輝く希望に満ち溢れていたのが、今では嘘の様に感じてならない。


酒を吐くまで飲み続ける毎日が続き、タケシの心は次第に壊れ始めて行く。


両親は、タケシの歯止めの利かぬ自暴自棄な行為に、どう対処するべきか思い悩んだ。


暴れ出したりはしないものの、タケシの瞳が以前とは違い、完全に死んでいる事は十分過ぎる程理解出来た…。




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