独眼狼ーワンアイウルフー
そんなレクスに気づかないまま、ヒスイは言葉を続けた。
「そういえば…昨日うちの方に運ばれて来た時も、意識が少し戻った時にあなたの事を言ってたわ」
「……何て、言ってたんですか…?」
レクスが先を促すとヒスイがにっこりと微笑んだ。
「「レクスの、馬鹿…っ」…って一言だけね」
ヒスイが言ったはずの言葉だったのに、レクスには…コハクの口から聞こえた気がした。
そう思うと、何故だかレクスは…胸の辺りがぎゅっと握られるような……そんな感覚を拭えなかった。
軽く握り拳を作り、その感覚をレクスは…じっと耐えた。
少しの間、沈黙がコハクの部屋を包む。