独眼狼ーワンアイウルフー



不意にヒスイの視線が、テーブルの上に移動する。

ヒスイがテーブルに近づき、2つ置いてある写真立てを見つめた。


そして、レクスが昨日見ていない方の写真立てをヒスイが手に取った。

それをじっと見つめ、ヒスイは小さく微笑んだ。


「ねぇ、レクス君」
「…はい?」


レクスが返事をすると、ヒスイが手招きをする。

それに素直に従い、レクスがヒスイの側まで歩いていく。

レクスが傍に来たのを見計らい、ヒスイが口を開いた。


「コレ、見てくれる?」


そう言ってヒスイは持っていた写真立てを、レクスに手渡した。

……写真立ての中の写真に写っているのは、ヒスイと父親と母親の3人。

この写真には、レクスが気になる点があった。


それは、レクスが見ている写真には…昨日見た写真からコハクだけをすっぽり取り除いたように、真ん中に1人分のスペースが空いている事だった。

昨日、レクスが見た写真の時よりヒスイの髪が長い事から、あの写真を撮った後のものと思われる。


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