天井に星空

幻灯、星屑

僕はしばらく天井いや、星空を見ていた。
どのくらい見ていたのだろうか。
気づいたらロウソクを手にしたまま、ずっと立っていたみたいだ。

ため息というか、深呼吸に似たものを一度した。
「フーっ、ハァー・・・」

どうしようっていう気持ち以外に何もなかった。
綺麗な星空の下、僕は死ぬのかなって思った。
今日は会社に行くべきだったのかなとさえ思った。

30秒・・・1分・・・1分30秒・・・

とりあえず、よく分からんが天体観測でもするか。

そう思い立った僕は、手の中に大切に抱えたロウソクに目をやった。
こいつ、さっき一度消えたし、消えたかったのかな。
消してやろうか。
星を見るのには微妙に邪魔な光だし。

ロウソクに唇を近づけ、フーっと息を吹きかけようと思った瞬間!!
「ちょいと待って!!」
僕の頭の遥か上のほうから声が聞こえた。
なんか聞いたことのある声、でもどこから?って上を見上げたら
「うわっ」
人だ!人間だ!!こっちを見てる、しかも僕にそっくりじゃないか!

あわてて唇をロウソクから離した。
と同時に僕の口から出た言葉は
「おい、どっからきたんだよ」
重なるように天井の“僕似”が
「危なかったー」って。

僕は聞こえないのかと思ってもう一度
「だからー、どこから来て、お前は何なんだよ」って聞いた。
“僕似”のやつはこう答えた。
「いいじゃんどっからだって。ズル休みさん」

僕はプッツンしそうになったが、悔しいけど言葉にならない。
確かにズル休みだから・・・
いや、そんなことよりこいつだ。
こいつを何とかしなければならない。
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