指切りげんまん
激しい舌戦が止んだのを見計らったようにドアがノックされる。

「…はい?」

「あの…今よろしいですか?」

立ち上がらない佑を睨み変わりに答える。
扉の向こうから聞こえたのは七瀬の声だった。
覗き穴からそれを確認して扉を開く。

「どうかされたんですか?」

「先程は取り乱してしまってすいません…あの、少しお話したいことがあって」

夜間着から淡いピンクの着物に着替えた七瀬が目を伏せた。
目元には色濃く影が宿っている。

「…詳しく聞かせてください」

きっと何か得るものがあるはず。


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