指切りげんまん
長い昔話が終わった。

「…では、朝の悲鳴は水守の兄弟の?」

手をぎゅっと握り、唇を噛み締めて頷く。
大きな黒燿の瞳からは涙が零れ落ちそう。

「奏」

「うん」

あたしは刀を、佑は弾倉を確認して立ち上がる。

「待って…
あたしも連れて行って!」

立上がった拍子に七瀬の頬に涙が滑る。

「駄目だ」

「…では、水車小屋の場所が御解りですか?」

頬を伝う涙を拭おうとせずに七瀬が言う。

「あたしがご案内します」

「…行くぞ」

七瀬の勝ち誇った笑みと佑のため息、そして一言。

あたしは七瀬の手を引いて佑を居った。



.
< 28 / 53 >

この作品をシェア

pagetop