another contract

another contract -mark 7- 紅目線




『“契約”すれば、その“餌”はその“吸血鬼”専用の“餌”になる。その“吸血鬼”はその“餌”だけを“餌”としなければならない』
『じゃあ俺には“契約”しても関係無ぇな。人の血は飲まねぇし』
『いや、例え動物の血でもかなりの少量ならともかく、大量は駄目じゃ』
『なんでだよ』
『“契約”した“吸血鬼”は、その“餌”以外の血を受け付けられん体になる。もし受け付けれるような真似をすれば‥‥』



死ぬ。



そう爺ちゃんに教えてもらって、1週間が経った。
明日から、桃は今までの生活に戻らなければならない。

この2週間、俺は桃に何をしてやれた?
何か出来たか?

俺は人の為に懸命になるだとか、そんな綺麗な事はあまりした事ねぇ。
いつもいつも、俺がやりたい様にするだけ。
思う様に生きるだけ。

それだけ。

なのに、桃の為になろうとしたのは何故だ?
おふくろと重なって見えたからか?
それとも、俺が‥‥特別だと思ってしまったからか?



守れるものなら、守りたい。



‥そう思ったからだろう。

桃に対して。

昨日の夜、葵と遊んだ。
桃はまた、明後日から‥‥。
そう思うと、頭からずっと桃の事が離れなかった。
葵が何か五月蝿く言っていたけど、その内容はロクに覚えてない。
何処で何をして遊んだかも、あまり覚えてねぇし‥。



爺ちゃんに“契約”の事は全部聞いた。
隅から隅まで。

そして、今日が最後。
きっと、俺と桃が一緒にいられるのも‥‥。



覚悟は、出来ている。



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