another contract
乾いた音、一瞬走る痛み。
ははっ、やっぱ叩かれたか。
「っ、‥あ、の‥‥」
かなり動揺しているのだろう。
ゆらゆらと揺れる涙目で、俺を見つめる。
俺を叩いた方の手を、もう片方の手で握りしめていた。
なんでお前が、悪い事をしたみたいな顔するんだよ。
したのは、俺じゃねぇかよ。
「悪ぃ、でも‥」
これで‥‥桃、お前は自由だぜ。
そう言った俺に、桃は目を見開いた。
「っ、‥ぅ」
身体のつくりが変わるために苦しみながらも、ただ俺を見つめてくるその瞳。
真っ黒でも、純粋で、綺麗で。
げっ、コレ結構苦しいし、イテェ。
「わりぃな‥、こ、するしか‥なかった、から」
こうする事でしか、お前を救う事が出来ないと思ったから。
あぁ、やっぱり最後にお前の笑った顔を見るってのは、無理みたいだな。
これも全部、まぁ‥俺のせいなんだろうがよ。
ありがとうな。
お前の御陰でこの2週間、本当に楽しかった。
「‥‥さよならだ、桃」
そう伝えたのが最後。
桃は俺の目の前できを手放した。
だんだんと身体の激痛が引いてきて、身体のいうことがきく様になった。
俺は桃をソファーの上に寝かせて、静かに部屋を出た。
桃がこの屋敷から出された後、俺は親父の部屋に呼び出された。