another contract

another contract -mark 8- 桃目線




自由になれてから、2日が経った。
あの日は、ずっと泣いて過ごした。
何故泣いたか、ハッキリした理由は分からない。

でも、悲しかった。

涙はなかなか止まってくれなかった。
でも、よくよく考えたら学校で会えるんだから。
泣く必要なんてない。
それに学校で会う事、それが普通なんだから。

でも‥‥



「今日も、休みなんだ」

昼休み、紅さんの靴箱を見に行ってみた。
ある筈の靴は無し。
今週2日間、連続で休みだなんて‥‥。

「あれ?もしかして今日も休みなわけ?」

後ろからの声に驚いて振り向くと、黒縁眼鏡を掛けた男の子が立っていた。
先輩、かな?

「どうも、君は確か‥ここ最近先輩と毎日登校していた子だね?」
「‥先輩?」
「ああ、ゴメンね。先輩ってのは紅の事。ちなみに僕は浦波 葵。時期生徒会長志望なんだ。よろしく」
「あ、はぃ」

って事は、紅さんが前に言っていた後輩ってこの人の事なのかな?

「最近、先輩が学校休み気味なんだけど‥なんか知らない?」
「い、いえ‥でも‥‥」
「でも?」
「あ、何でもありませんっ!」

初めて話したばかりの人に言えないよ。
‥‥紅さんの家に雇われていた、なんて。
すると、葵さんは独り言の様に言った。

「本当に珍しいな‥先輩が2日も連続で休むなんて‥。先輩は学校休んだりなんてなかなかしないのに‥」
「あのっ、学校休むのって珍しい事なんですか?」
「うん、多少熱があっても来るよ?でも、授業サボる事はしょっちゅうだけど」
「そうなんですか」
「‥もしかして、」



何かあったのかも。



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