another contract
「おい、女。そいつから離れろ」
私は2人の男を睨み付け、紅さんを庇う様に抱いた。
「どうしてこんな事するのっ!?」
「“契約”したからだよ。その相手はお前なんだろうよ?」
そう言う彼の顔は、良く見れば知っている顔だった。
前に、彼に血を与えた事がある。
隣にいる彼にも‥‥。
「屋敷内の“特別”な存在と“吸血鬼”が“契約”したらな、“吸血鬼”は死ぬまでのおよそ3日間、地獄を味わいながら過ごす事になってんだよ」
薄気味悪く笑いながら、その人は言葉を続けた。
「コイツの寿命はあと‥‥約15時間」
「15、時間‥?」
「約15時間で、コイツの命は途切れる」
永遠に。
「‥‥っ、させない!!」
私は紅さんを強く抱きしめた。
心臓は、まだちゃんと動いてる。
なのに今の言葉を聞いたら‥不安が、不安だけが今の私を作り上げる。
「そうだな、コイツは助かるかもな。‥‥お前のせいで」
「‥‥っ!!」
急に壁に押し付けられ、首にゴツゴツとした手が食い込む。
苦しくて、息が‥‥視界が、涙のせいだけではないのだろう、霞んでくる。
私の首を絞めている彼の後ろでは、もう一人の男の人が紅さんの体を蹴飛ばしていた。
「‥か、‥はっ‥‥」
だ、駄目‥。
これ以上、紅さんを‥‥
自分の事より、真っ先に紅さんの事が頭の中を駆け抜ける。
その時、急に崩れ落ちる彼たち。
「はぁ、さっきの2人は結構手強かったなぁ。でも、今は運良く急所に入ったみたいだね」
葵さんの蹴りが入ったその人は、ぐぅ‥ッ、と呻き声を上げながらうずくまった。
首を掴まれていた手が離れ、私はその場にしゃがみ込んだ。
「っ、ゴホッ」
私は足をふら付かせながらも、紅さんのところへ行って、またさっきと同じ体制をとった。
「お前、浦波家の餓鬼か」
「どうも、ご無沙汰してます。結構ヤってるみたいですねぇ」
彼らがそう簡単に挨拶を交わした後、骨と骨がぶつかり合う音が部屋に響き出す。
さっき急所を蹴られたであろう彼も、参戦していた。
その音といい、この状況といい‥。
怖くなってギュッと目を瞑った時だった。
「も、も‥‥」