Bitter Love〜苦くて切ない恋〜
それでもあたしは笑って、グラスの中のお酒を一気に飲んだ。

空っぽになったグラスを、中沢さんの前に差し出す。

「もう1杯、お願いします」

口ではそう言っていても、躰はもう無理だと叫んでいた。

「無理、するなよ」

中沢さんが言った。

あたしは空っぽのグラスを、テーブルのうえに置いた。

芯だったらダダをこねて、頼んでいたところだろう。

中沢さんは、できなかった。

どうしてこんなにも、違うのだろう。

同じことを言ってるだけなのに。

「ごめん」

中沢さんが言った。

「俺のわがままで、飲ませちゃって」

独り言を言うように、中沢さんが言った。

「気にして、ないですよ」

あたしは笑って言った。

「無理して、笑わなくてもいいよ」

中沢さんが言ったので、あたしは笑うのをやめた。

「少し、眠るか?」

中沢さんが言った。

「誘って、いるのですか?」

つい、口から出てきた。
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