Bitter Love〜苦くて切ない恋〜
「起きてたん、ですか?」

あたしは言った。

「雪の顔が見たかったから、起きてた」

イジワルそうに笑みを見せながら、中沢さんが言った。

その顔も、すごく好きだ。

あたしだけ見せる、特別な顔みたいで。

チュッと、つかんだ手にキスをする。

その仕草も、すごく好きだ。

あたしだけやってくれる、特別な仕草。

「愛してる…」

テナーボイスでささやかれる、その言葉。

すごく、好き。

中沢さんが唇を奪う。

吐息が触れるほどの距離に、中沢さんの顔がある。

あたしだけの、中沢さん。

いろいろな中沢さんが見れるのは、あたしに資格があるから。

中沢さんの隣にいるから、そんな資格があるんだ。

イジワルそうな笑みも、つかんだ手にキスするのも、“愛してる”ってささやかれるのも。

中沢さんの隣にいる、資格。
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