黄昏に君と



「怪我、したんですか?」


妖は今やっとオレの様子に気づいたようで、心配そうにオレの顔を覗き込んだ。




「…お前には関係ない。」





それを聞いた妖が、悪戯をして叱られた子供のようにしょんぼりした。


反射的に言ってしまったその言葉を少し後悔したが、見なかったふりをしてその場を立ち去った。









何故こんな風にしか言えないのだろうか。
せっかく心配してくれたというのに。


あの妖は、多分"アイツ"とは違う。それなのに。







    
     
…否。

          ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
こんな風にしか言えなくなった、という方が正しいかもしれない。

あの時から。


どうしても、駄目なんだ。










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