時間屋
…そうだった。
呼び出されるんだ、俺。
教室を出て、職員室まで走る。
階段を駆け下りようとしたとき、思い出す。
"階段の三段目で、足を滑らせて落ちる"
「…まさかなぁ…」
念の為、注意しつつも階段を下り始める。
けど、やっぱり。
「ぅ、わッ…」
滑った。
けど、運動神経には自信がある俺は、転げ落ちる前に、跳躍する。
そして、階段の一番下に着地した。
「…っぶねー…まじかよ…」
そこで、またしても思い出す志乃の言葉。
"でも怪我はないみたい"
…何なんだ、一体。
本当に、こんなことってあるのか?
「…空雅くん!」
ぎょっとして階段の上を見ると、息を切らした志乃がいた。
「よかった…やっぱり怪我なかったね」
「………悪い」
俺がぼそっと呟くと、志乃が首を傾げた。
「だから、…疑って、悪かった」
志乃は、ただ笑った。
彼女の能力は…嘘なんかじゃなかった。
そして、その能力は狙われている。