時間屋
北条家まで、あと数メートルというところで、事件は起きた。
「……きゃっ」
「志乃!」
志乃が、隣で派手に転んだ。
…やばい。
後ろを振り返ると、サングラスに帽子を被った男が3人いた。
「…強盗かっつーの」
なるべくなら、手荒な真似はしたくない。
…けど、そんなこと言ってらんねーよな。
「志乃、お前は早く家に逃げろ」
「でも…」
「いいから!」
志乃が躊躇いつつも走り出すのと、敵が襲いかかってくるのがほぼ同時だった。
俺は学校用の鞄を道の脇に投げ捨てる。
相手は俺の力量を計ろうとしてるのか、まずは一人だけ向かって来た。
「なめてもらっちゃ困るね!」
相手の拳を、軽々とかわした俺は、すかさず蹴りを打ち込む。
体制を崩した相手の胸ぐらを掴み、背負い投げた。
残りの二人が、完全に伸びた仲間を見て後ずさる。