時間屋
「…どうした?かかってこいよ」
俺の挑発に、二人が一斉に飛びかかってくる。
俺は後ろにかわした。
「…って、ちょっと待て!」
時既に遅し。
相手は俺を倒すことよりも、仲間を選んだ。
二人が気を失っている一人を抱え、足早に去って行ってしまった。
敵を取り逃がした自分に、猛烈に腹が立った。
「あ―――、くそっ!」
追いかけてとっつかまえたいが、そうもいかない。
俺の仕事は、あくまで志乃の護衛だ。
投げ捨てた鞄をひっつかみ、北条家の裏口へ回る。
「空雅くん!」
「なっ、おま…!?」
裏口には、信じられないことに志乃が待っていた。
「何で部屋にいないんだよ!んなとこにいて、他の追っ手にさらわれたらどーすんだ!!」
俺が怒鳴ると、志乃も負けじと言い返してきた。
「空雅くんが戦ってるのに、一人で安心して待ってられるわけないでしょ!?」
本当に何なんだ、こいつは。
護られてる立場なんだから、大人しく護られてればいいのに!