音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~




あたしは3人で食べられるから嬉しいから気にしていないんだけどね。


「理央ちゃーん、後1つお願い」


「はーいっ」


うん、いい返事。

100点。

カレーを3人分運び、いざ夕ご飯!


「「「いただきます」」」


冷えた体は温かいカレーを求めている。

ジャガイモが熱いっっ。


「樹くんって明日は試合に出るの?」


「出るよ」


「見に行っていい?」


「んー、でも理央ちゃんはテスト前だろ? だから勉強しなさい」


「あたし、見たい」


あたしの隣で妹といっくんがこんな会話を繰り広げているのを聞きながら……。


「体があったまるー」


なんて言いながら、あたしはカレーを頬張る。


外の寒さで体はキンキンに冷えた。 カレーが冷えってしまった体をじわじわ温める。


「まおちゃんが一緒にいたら、見学に行ってもいい?」


「まおは明日、補習だから無理だよ」


「ん、あたし?」


カレーを食べているなか浮上してきたあたしの名前。


ついつい聞き返してしまった。




< 29 / 557 >

この作品をシェア

pagetop