音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~




「ねぇ、まおちゃん。 あたし北校に練習試合、見に行ってもいい?」


「いいとは思うけど……。知らない人、いっぱいいるよ?」


「それでもいいよ。 あたし見たい」


理央ちゃんってそこまでバスケが好きだったかな?

まぁ興味があるなら見学くらい誰だって自由だし……。 それに、少しは高校見学にもなって、理央ちゃんの後の高校選びの参考にもなると思うから。


「いいんじゃない?」


「ホント? やったー」


理央ちゃんがバスケねぇー。


あたしはバスケは…… パスだな。 あの固いボールを投げて相手にパスするとか…… 無理!


顔面に当たりそうだし、突き指しそうで怖い。


あたしはネット競技が好きだな……。 バドミントンとかテニスとか?


「おい、まお。 理央ちゃんが来るってことはちゃんとまおが理央ちゃんの面倒見ろよ。

…… 絶対、1人にさせるな」


「了解」


だーれがこんな、かわいい妹を1人にさせるんですか。

しっかり視界に入れておきますともっ。




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