恋 理~renri~
母と娘2人の私たちに身寄りはおらず、葬儀の喪主は私が務める外なかった。
その傍らにはまだ事訳が解るはずのない、年端もいかぬ小さな妹1人。
彼女が唯一、頼れる私が泣いていたらダメ・・・
お通夜から葬儀の間はずっと、気丈に振る舞っていたのに。
火葬場で立ち上る煙を見た瞬間、堪えても溢れ出るものは止められなかった…。
「はい…、どぉぞ」
独特の匂いが立ち込める中で泣いてしまった私に、亜美は笑顔でタオルをくれて。
この時に私は、家族が居る温かさとある決意が芽生えたの。
自分なんかどうでも良い…、この笑顔だけは絶えさない…と――
母の遺してくれた忘れ形見を、きちんと守り育てることを墓前に誓った。
そうして今年で、母が亡くなって3度目の春がやってきたのだ――…