恋 理~renri~
早いね、お母さん…、時間が過ぎるのって・・・
「真咲ちゃん、お着替え出来た!」
ギンガムチェックの可愛らしい制服に身を包んだ亜実が、リビングへやって来た。
「うん、今日もカワイイ!
それじゃあ、ご飯食べよっか?」
椅子に座った彼女の制服の乱れを直してから、ようやく朝ごはんが始まる。
「うんっ、いただきます!」
「慌てて食べなくていいってば…」
笑顔でサンドイッチを頬張る亜実に、こちらまで嬉しくなってしまう。
まだ5歳児ならば、大体のことは親が手助けしているのかもしれない。
だけれど私たちには、その頼るべき親の存在がないのだ…。
酷だけれど、自分で出来ることは手助けを一切しない私。
亜実も何となく理解をしているのか、協力してくれるから…。
私もまた着替えと朝食を終えると、手を繋ぎながらマンションを後にした――…
保育園までの道すがら、保育園での出来事を聞くのがささやかな私の楽しみで。
「すみません、よろしくお願いします」
「はい、確かにお預かりしますね」
先生に挨拶して亜実を預ければ、私は戦闘モードに切り替わっていく――