other contract
俺はそのままソイツの後ろを素通りしようとした。
「は?何の話?それ」
けど‥‥
「俺が神白の事好きって、何かの間違いだろ?」
何や?
「アイツ、可愛いじゃん。だから利用してやってんのっ!」
‥‥利用?
「アイツの事なんて最初から好きでも何でもねぇし」
ていうかさ、むしろ最近ウザくなってきた。
はははっと笑いながら淡々と語るコイツに、俺はいつの間にか手を出していた。
音を立てて落ちるケータイ。
コイツは見知らない俺に、行き成り胸倉を掴まれた事にかなり驚いていた。
「な、何だよっ!お前!!」
「華を利用しとるって、どういう事やっ!?」
そう、胸倉を掴んだ手に力を一層込めて叫んだ時だった。
相手の目が、見開かれる。
でも、視線は俺を見ているのではなくて、ずっと後ろの方を見ていた。
俺は気にせずに、更に手に力を入れようとした。
その時、口が小さく動く。
「か、みしろ‥‥」
と。
その言葉に、俺は後ろを向くと、
華と目が合う。
「は、華‥」
「‥‥」