other contract
other contract -mark 2- 金司目線
「んえ゛!?お、襲ったの‥ッ!?」
口に含んでいたコーヒーを見事に噴き出した葵は、目を点にしていた。
「あ、アホッ!向こうからくれたんや!!」
昨日の放課後の出来事を葵に話せば、何かと互いが恥ずかしくなる様な事ばかり。
お前みたいに一方的には俺はせえへん!
と言おうとしたが、襲った事は確かな事だったから口を閉じた。
雑巾を手にとって、葵に見事に噴かれたコーヒーを拭く。
葵はむせていて、ゲホゲホと咳を繰り返していた。
‥‥前にもこんな様な事、あった気がする。
と独り言を吐きながら。
「ハァ‥、金ちゃん、やっぱり早く見つけた方が良いって」
「何でや」
「『何で』って‥、昨日また倒れたんでしょ?人が痛いって言うのが可哀想とか、嫌だとか言うのは分かるよ。でも、それは仕方の無い事なんだし、金ちゃんにしたら命が掛かっているんだから」
‥‥だから、早く血をくれる人を見つけようよ。
そう言う葵に、俺はコーヒーで汚れた雑巾を渡して、元の位置に戻って座った。
「俺は動物の血でも飲‥」
「めないでしょ」
素早く俺に釘を刺してきた葵は、呆れた顔をして一つため息をした。
‥‥せやった。
俺、紅みたいに動物の血は飲めんのや。
苦手なんよなぁ。
「先輩みたいに動物の血も口に出来ないのに‥。本当、それでよくここまで生きて来れたね」
「ホンマやなぁ」
昨日あの子から貰った血は、ほんの一滴にしか過ぎない。
これで生きられる目安は‥‥
「長くもって3日位?」
「まぁ、そのくらいやろな」
俺が人の血を好まない理由は、紅とほぼ同じや。
人の涙を見るのは好きやない。
でも、感動の涙は別やで。
俺は人の涙を見てまで、自分の命が惜しいとは思わん。
ならば、死んでもええかな。と思っているのが今の現状や。
でも‥‥
少し、気になる事があってな‥‥。