企画小説


「……俺を、馬鹿にしたのを見返すこと」

「あん?」

「消去法で、人を選ぶなんて俺への冒涜と一緒です」

「なら…!」

「だからこそ、行くんですよ。父さん」


俺は、父さんをしっかり見た。

そう、この時の私は、消去法で選んだ東苑堂寺の人を見返す為に行くことにした。

父さんは、私の考えが読めたのか父は


「…帰ってきたくなったり、嫌なことがあったら電話しなさい。一喝いれるか迎え入れてやる」


父は、俯きながら、私にそう言いました。



「うん、分かった」






―――――――
―――――――――…

「でけぇ…」


あのあと、直ぐ準備をして母さんや兄さん、将にもそのことを伝えたり等をしていたら、夜になってしまった。

夜に着いたお屋敷は、ぽつりぽつりと暖かな光で道や廊下を照らしていた。



「今日から貴方は、東苑堂寺家の見習い執事です。その様な言葉遣いは控えてください」

「あ、はい」


元々、口の悪いヤクザをやっている父とお嬢様やってる母の二人と会話をしていたので、言葉の使い分けは出来ていました。



しかし、それからの生活はかなり大変でした。

早起きは勿論のこと、朝に庭仕事をしてからその足で学校に行き、クタクタになって帰って来て夕方から夜遅く迄、執事仕事をこなす。

でも、これくらいで疲れていてはいけない。
そう思って、毎日こなして、いつしか時は流れていきその間に、磯島さんは亡くなられました。

その翌年に私は、東苑堂寺家の筆頭執事となりました。
浬津お嬢様に逢う2年前のことでございました。
しかし、その年、淡岩家で最悪なことが起きました。


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