うちの所長知りませんか?
はっはっはっ、と、座ってる男子がわざとらしく笑う。彼がきっと、推理小説研究会の代表だ。

「なにを根拠にそんなこと言うのさ、いきなりやって来て、うちの研究員を……」

「そのことについては、〝二十面相〟と〝データバンク〟に訴えてください」

「ちなみに〝データバンク〟って言っても占い研の〝データバンク〟じゃなくって推研の〝データバンク〟によろしくお願いしますっちゃ!!」

「真美ちゃん、ちょっと黙っておこうね」

「はいっちゃ先輩っ」

真美ちゃんを後ろに下げて、僕は前に出た。

「推理小説研究会の代表さん、僕は今非常に急いでます。だからはっきりきっぱりさっくり言います。大恩寺めもりさんを出せやゴルァ、隠しとると許さんぞヌシャァ」

「せせ、先輩?」

「ごめん、今ちょっと錯乱したよ」

真美ちゃんも推理小説研究会のみなさんも冷や汗たらりなのは、謝っておこう。
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