うちの所長知りませんか?
代表さんは余裕そうに足を組んだ。

「それで?」

と促してくる。

「水素とリチウム、それに暗記文のように繋げると、『すいり』になりますよね。これは、『推理』研究会や『推理』小説研究会の『すいり』なんですよ」

「なんだいそれ、とんだこじつけだなあ!」

思いっきり笑われる。構うもんか。

「これより先を話す前に、僕なりに、なぜアナタ方がこんなことをしたのか考えてみました」

「おや、もう犯人扱いかい? ここにはあの変人はいないと言うのに?」

「聞くだけ聞いてください。おかしなことに、この学校には推理研究会と推理小説研究会、似通った部がある。うちの部数は軽く三十を越えてるし、毎回予算の獲得にどの部も懸命なのは、ご存知ですよね」

「……」

「研究会は、五人の所属者がいれば部に昇格できる。逆に、三人にまで人数が減ると、部費が削減される」

「…………」

「似たような名前の研究会ですし、生徒会から圧力があったんじゃないですか? たとえば――」

一拍。

「次の、つまり今回の視察で活動がかんばしくないどちらかの研究会を、潰してしまう、とか」
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