LAST contract【吸血鬼物語最終章】

LAST contract -mark 9-  葵目線




昨日と一昨日の連休は、何ともなかった。
立ち眩みをしたのは、スミレと帰った金曜のあの時だけ。

だから、僕はそんな事を気にする事も無かった。

それよりも気になる事があったしね。



放課後、生徒会室で先輩たちを待ちながら一人でゆったりとコーヒーを口にしていた。
すると、遠慮気味に開いた扉から、スミレが顔を覗かせた。
‥‥可愛い事、しないでよ。

「いらっしゃい。まだ桃は来てないし‥適当に座って?紅茶淹れてあげるから」

スミレは無言のまま扉を閉めて、僕が座っていたソファーに腰を掛けた。
なら、向かいのソファーに移動するか。
と思ったが、コーヒーはスミレの座っているソファーの方に置いている。
それじゃあ、不自然か。
僕は仕方なく、スミレの隣に腰を下ろした。

「はい、どうぞ」
「ありがとう!」

僕に笑いかけるスミレは、記憶を失くしてから接してきたスミレと、何の変りも無かった。
あの時の事が嘘の様。

「スミレ、お前‥僕が怖くないの?」
「何で?」

な、何でって‥‥

「また、お前を好き勝手するかもよ?」

スミレは少し驚いた表情をして、手にしていたカップを机に戻した。
そして、僕の方に向き直す。

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