LAST contract【吸血鬼物語最終章】
金ちゃんは片手に道着、もう片方の手には紙袋を2つ下げていた。
「どうしたの?高等部に来て」
「ああ、華を迎えに行くんとついでにな、コレ」
ほい。と差し出されたその紙袋。
中にはゴロゴロと蜜柑が入っていた。
「どうしたの、コレ」
「実家からのおすそわけや。段ボールいっぱいに送られてきてなぁ‥」
「は、はぁ」
「俺と華2人じゃ食べきれんし、お前らにも渡そうて事なってな」
はっはっはと笑う金ちゃんに、僕はひきつった笑顔を返した。
ていうか、これ結構重いんですけど‥。
それを平然とした顔で片手に2袋も持ってるなんて。
‥相変わらず凄いねぇ、金ちゃん。
「中に袋入っとるから、菫にも半分渡して‥」
金ちゃんの言葉が途切れた。
かと思えば‥
「‥っ、ぅ」
激しい目眩が僕を襲ってきた。
立っていられるわけもなく、僕は両ひざを付く。
丸い橙色が、ころころと目の前を転がった。
「葵、お前‥」
な、に?金ちゃん。
「血が、体内の血が残り少ないんとちゃうか!?」
「‥大丈夫、だから」
僕は紙袋の中から転がり落ちた蜜柑を、紙袋の中に一つずつ戻す。
そのうちに、少しずつ視界も元に戻った。