恋するOL!戦うOL!
「悪いけど去年の資料取ってきてくれる。」

明日が大事な会議のため薫子先輩と私は二人して資料作りで残業。

私が二日も休んだせいもある。

急いで書庫へと向かった。


今日は・・・ちゃんとした用事があって書庫に行ったのだが・・・

どうした訳か・・・そこに一也が・・・居た。

「一也・・・どうしたの?こんな時間に・・・。」

「あかり?」

書棚のところで何やら探し物をしていた一也。とっくに帰ったと思ってた。

私が声をかけて初めて一也は気が付いたのだった。


「いや・・さっき外回りから帰ってさ、

ロビーで真理子さんに会って、書庫に忘れ物したから

戻るの面倒だから持って来てって・・・。」

「物は何?」

「手帳とかって・・・。無いんだよな。」

真理子先輩と薫子先輩・・・

先輩たちが一也と話をできるようにしてくれたんだと分かった。


「あ、あのね・・・。」

そう、話かけようとしたら、

「真理子さんの勘違いかな。ここにはないみたいだから・・・帰るわ。」

一也が出て行こうとした。

「そんなに私といるの嫌なの?」

書庫のドアに手をかけた一也に向かって思わずそう言ってしまった。

一也がゆっくりと振り返る。


「何で?用ないし。」


冷たい言葉・・・

自分の中に諦めモードが立ち上がる。

今さらだよね。一也だって迷惑だよね。

高槻さんの近づいてきた本当の理由を知ったところで、一也には関係のない話かもしれない。

一也と別れて高槻さんを選んだのは私だ。


騙されてたと言ったって・・・簡単に楽な方に流されたのは私だ。

幸せになりたい・・・と思っているうちに・・・

何が真実なのかを見極められなくなってた。

もう・・・遅いのかもしれない。

戦うなんてバカなことは・・・


「ごめん・・・なさい。つまらないこと言って・・気にしないで。お疲れ様でした。」


信じられないくらい冷静な声が自分の口から出た。

何も気にしてないように・・・


「ああ・・お疲れ・・・。」

一也はそう言って出て行った。
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