Happy garden.【短編】
わたしだってゆきずりの男なんかと寝たいわけじゃないけど、女としての価値がないと言われてるようで、むかついた。
そりゃあ、普段はトレーナーにジーンズなどカジュアルな格好で、
仕事に行くときはブラウスにカーディガン、パンツなどのオフィスカジュアル。
手抜きな格好ばかりだけど、今日は違う。
久々のデート、しかも年初めだから、気合いを入れてオシャレしたんだ。
明るめのカラシ色のセーターを着て、その上から灰色と黒のチェックのニットワンピース、襟にファーのついた白いコート。
足元は薄手の黒タイツと黒のストレッチブーツ。
髪の毛だって、クリスマスの直前に美容院に駆け込んで、腰まで伸びた髪を切りそろえ、ふんわりとパーマをあてて、赤系の焦げ茶に染めた。
眉も整え、化粧もいつも以上に気合いを入れた。
女として見れないほど、ひどくはないはずだ。
男はふっと笑うと、背を向けて歩き出した。
ついてこいってこと?
重箱はわたしが持ったまま。
受け取らないことで、わたしが逃げ出さないように計算してるように思えて、一層、むかついた。