Happy garden.【短編】
「……わかったわ。でも、ここじゃなかったら、どこで食べるの? 店になんて持ち込んだら、怒られるわよ」
「だよなぁ」
男は顎に手をあてて、考える仕草をした。
「……仕方ない。俺の部屋に来るか」
「は?」
悩んだ末に男の出した結論の驚き、ぽかんと口を開けた。
「あなたの、家?」
繰り返しながら、顔をしかめた。
それはどう考えたって、マズイでしょ。
知らない男の家についていけるわけがないじゃない。
おせちを食べるだけで終わるとは思えないし、ついてく時点で何をされても文句を言えなくなる。
「気にせんでも、変なことはせえへんよ。ゆきずりの女抱くほど、女に困ってへんし」
その言い草にカチンときた。
胸はって腰に手をあて、偉そうに言い返してしまう。
「あっそう。じゃあ、連れてってもらおうじゃないの」
売り言葉に買い言葉ってやつだ。