Happy garden.【短編】

早速、風呂敷をほどいて、赤い重箱を取り出した。


わたしが風呂敷を畳んでる間に、待ちきれないとばかりに誠司さんが重箱のふたを開けた。


「うわ、すげえ! うまそう、見た目もきれいやん」



一段目には、紅白かまぼこ、黒豆、たたきごぼう、田作り、かずのこ、筑前煮。


二段目には卵焼き、さわらの西京焼き、とりの松風焼き、紅白なます、くりきんとん。


本来なら一段目にコレを入れてって決まりがあるんだろうけど、その辺は適当だ。


伊達巻なんてのも面倒だから、代わりに砂糖たっぷりの甘い卵焼き。


昔、お母さんの作ってくれたおせちもただの卵焼きで、

甘い卵焼きって好きじゃないから、普通の塩の卵焼きがいいって言っては困らせた。


甘くしないと傷みやすいからダメって言われたことを思い出しながら、このおせちの玉子にも砂糖とみりんをたくさん入れた。


黒豆はさすがに買ってきたもの。


作ってみたいけど、教えてくれる人がいないので、今回は止めた。


他のものも初めて作るものが多かったけど、料理本を見ながら頑張った。


毎日のように自炊をしているだけあって、わりとおいしくできたと思う。

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